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弁護士法人田島法律事務所

入間事務所 ひばりが丘事務所

離婚のご相談

離婚の際には、子供やお金の問題など様々なことを考えなければならず、生活環境も大きく変わります。
予めどのような変化が起こるのかを予測し、どのように対処したらよいのかを考えて準備する必要があります。

また、離婚に関する情報は、インターネットなどで手軽に集めることができますが、実際に相手方との交渉や調停などの慣れない手続きをすることには、不安や大きなストレスが伴います。

当事務所では、ご相談時に、現在の状況、今後の予想、とり得る手段、解決に要する時間などについて具体的に説明します。

ご依頼時には、弁護士が、話合いや調停などに必要な資料の準備、相手方との交渉の窓口、調停への同席などの代理人としての活動を行いますので、依頼者の不安やストレスが軽減され、落ち着いた日常生活が送れるようになります。

また、弁護士が介入することにより問題が整理され、話合い自体が進まないような事態を回避でき、早期解決も期待できます。
→ 離婚の弁護士費用についてはこちらをご覧ください。

離婚の理由

お互いに離婚の意思があれば、どのような理由でも離婚できます。

しかし、どちらかが離婚に納得しない場合、法律で定められた理由がなければ離婚できません。

性格が合わない、異性関係、暴力、精神的虐待、生活費を渡さないなどの理由は、必ずしも法律で定められた離婚の理由には当てはまらないことがあります。

法律で定められた離婚の理由は、以下の5つです。

① 配偶者に不貞な行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ 婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

※保護命令

配偶者などから暴行や脅迫を受け、今後も暴力により危害を受けるおそれが大きい場合、被害者は裁判所に保護命令(加害者が被害者や子供に近寄らないようにする裁判所の命令)の申立をすることができます。
保護命令に違反した場合、加害者は刑事罰を受けます。

子供の問題

1 親権

親権とは、子供の身上の世話や教育,財産の管理を行う権利・義務をいいます。

未成年の子供がいる場合、離婚をするときに父母のどちらかを親権者と決めなければなりません。

親権者も話合いで決めますが、話合いで決まらない場合、裁判所が家庭の状況などの調査を行い、以下の事情を考慮して決めることになります。

① 父母側の事情

監護能力、精神的・経済的家庭環境、居住・教育環境、子供に対する愛情の度合、従来の監護状況、実家の資産、親族の援助の可能性など

② 子供側の事情

年齢、性別、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への適応性、子の意向、父母・親族との結びつきなど

子供の利益のため、必要がある場合には親権者を変更することもできますが、裁判所に親権者を変更する調停・審判の申立てをする必要があります。

なお、親権者が死亡した場合、親権者を定める審判又は未成年者後見人を定める審判により、親権者又は未成年者後見人を定めることになります。

2 監護権

監護権とは、子供の身上の世話や教育を行う権利・義務をいいます。

親権には、子供の身上の世話や教育を行う権利・義務と、子供の財産の管理を行う権利・義務が含まれていますが、前者を監護権といいます。

離婚前に別居する際、話合いで監護権者を決めることになりますが、話合いで決まらない場合、親権者を決めるときと同じような事情を考慮して、裁判所が決めることになります。

また、別居の際、相手方が無断で子供を連れ出した場合、相手方に対し、子供と同居するために子供の引渡しを求めることができます。

3 面会交流

面会交流とは、子供と別居している親が、子供と面会や、面会以外の方法(電話・メールなど)により交流することをいいます。

子供と別居している親は、子供と同居している親に対し、子供との面会交流を求めることができます。

面会交流は、子供の健全な成長にとって非常に重要なことであると考えられています。

4 養育費

養育費とは、離婚後、子供が自立して生活できるようになるまでの生活(衣食住・教育・医療など)に必要な費用をいいます。
離婚した夫婦に未成年の子供がいる場合、親権者となった親(権利者)は、親権者とならなかった親(義務者)に対し、養育費の支払いを請求できます。
養育費は、権利者が請求したときから、子供が20歳になるまで支払うのが一般です。

養育費の額を定める際、裁判所では「養育費算定表」が広く活用されています。
養育費算定表はこちらから→ 裁判所 養育費算定表

養育費には原則として所得税・贈与税はかかりませんが、養育費を一括で受け取った場合、贈与税がかかる可能性があります。

お金の問題

1 婚姻費用

婚姻費用とは、配偶者と子供の生活に必要な費用をいいます。

夫婦が別居している場合、相手方に対し、婚姻費用の支払いを請求できます。
婚姻費用は権利者が請求したときから認められるのが一般です。

婚姻費用の額を定める際、裁判所では「婚姻費用算定表」が広く活用されています。
婚姻費用算定表はこちらから→ 裁判所 婚姻費用算定票

婚姻費用には原則として所得税・贈与税はかかりませんが、生活費などの名目で取得した財産を預貯金などにした場合、贈与税がかかる可能性があります。

2 財産分与

財産分与とは、離婚の際、婚姻中に形成した財産の清算などを行うことをいいます。

財産分与の対象になるのは、婚姻中に形成した財産(不動産、預貯金、株式、生命保険、学資保険、退職金など)です。

まだ支払いを受けていない退職金は、支払われるかどうかが不確定であることから、財産分与の対象となる退職金の額と支払の時期が問題となります。
退職金の額を決める方法には、離婚のときに退職したと仮定する方法や定年退職の退職金の額をもとにする方法があります。
支払の時期は、離婚時とする場合や退職時とする場合があります。

婚姻中に形成した財産であれば、自宅や預金の名義がどちらかの名義になっていたとしても、財産分与の対象になります。
これに対し、結婚前から持っていた財産や相続で取得した財産は、財産分与の対象になりません。

分与される財産の割合は、財産形成への貢献度に応じて決めますが、原則として半分ずつとなります。

財産分与は、離婚後でも請求できますが、離婚から2年以内にしなければなりません。

財産分与には原則として贈与税はかかりません。
ただし、財産分与の対象の財産が不動産の場合、分与する側に譲渡所得税、分与を受ける側に不動産取得税がかかる可能性があります。
不動産の名義を変更する際には、登録免許税がかかります。

3 年金分割

⑴ 年金分割とは

年金分割とは、夫婦の一方又は双方が厚生年金(会社員)・共済年金(公務員)に加入している場合、婚姻中に納付した厚生年金・共済年金の保険料納付記録の合計額を当事者間で分割する制度をいいます。

年金分割制度で分割されるのは、厚生年金額を算出する際の基礎となっている保険料納付記録です。相手方が支払いを受ける年金額そのものを分割して取得できるわけではありません。
分割を受けた側は、分割された分の保険料を納付したことになり、それに基づき算定された厚生年金・共済年金を受給できることになります。

国民年金の老齢基礎年金・国民年金基金・企業年金は、年金分割の対象にはなりません。

50歳以上の方は、年金事務所で「年金分割を行った場合の年金見込み額のお知らせ」を取得することで、年金分割後の年金見込額を知ることができます。

⑵ 年金分割の対象となる期間

年金分割の対象となるのは、婚姻期間です。
仮に、長期間にわたって別居していても、年金分割の対象となるのは、原則として別居時ではなく離婚時までの期間です。

⑶ 年金分割の種類

① 3号分割

平成20年4月1日以降に第3号被保険者である期間については、標準報酬が当然に2分の1の割合で分割され、分割の割合を当事者間で決める必要はありません。

第3号被保険者とは、専業主婦など厚生年金に加入している配偶者(第2号被保険者)に扶養されている方などのことです。

② 合意分割

平成20年3月31日までの期間は3号分割の対象にはならないため、それ以前に婚姻した場合、当事者間で分割の割合(請求すべき按分割合)を定める必要があります。

また、平成20年4月1日以降の期間でも、共働きをしていて第3号被保険者でない期間も3号分割の対象にはならないため、分割の割合(請求すべき按分割合)を定める必要があります。

按分割合とは、当事者双方の年金分割の対象となる期間における標準報酬総額の合計額のうち、分割を受ける側の割合を表すもので、この割合の範囲内で分割の割合を定めることになります。

当事者間で按分割合を定め(協議により合意できないときは家庭裁判所の調停・審判により定めます。)、年金事務所に対して標準報酬の改定請求という手続きをします。

按分割合を定めても、年金事務所に対して標準報酬の改定請求をしなければ、年金分割は行われません。

⑷ 年金分割の期限

原則として離婚成立日の翌日から2年以内に、年金事務所に対して標準報酬の改定請求をする必要があります。

もっとも、離婚から2年以内に按分割合に関する調停・審判の申し立てをした場合、離婚から2年経過後に調停が成立・審判が確定したときは、その日の翌日から1か月以内であれば、改定請求ができます。

⑸ 年金分割をしない合意

協議によって年金分割をしないと合意することはできますが、年金分割をしないとの合意をした場合でも、年金事務所に標準報酬の改定請求ができると考えられています。

4 慰謝料

慰謝料とは、不貞行為や暴力などの相手の行為により受けた精神的苦痛を填補するものです。

離婚の際の慰謝料には、次の2つがあります。

① 離婚原因となった行為(不貞行為や暴力など)による精神的苦痛に対する慰謝料(離婚原因慰謝料)
② 離婚という結果自体による精神的苦痛に対する慰謝料(離婚自体慰謝料)

不貞行為があった場合、配偶者と肉体関係があった第三者に対しても慰謝料を請求することができますが、第三者に対しては、原則として離婚自体慰謝料を請求することはできません。

なお、慰謝料は非課税所得とされており、所得税はかかりません。

離婚の方法

1 協議

当事者間で話合い、話合いがまとまれば「離婚届」を作成して、役所に提出します。

そして、養育費や財産分与などの取り決めをした場合、「離婚協議書」を作成します。

養育費など金銭の支払いに関する約束をしても、相手方が支払いをしないときは、裁判をしなければ強制執行(給料や預貯金を差し押さえるなど)をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、裁判をしなくても強制執行をすることができます。

2 調停

当事者だけでの話合いがまとまらない場合、裁判所に離婚調停を申し立てます。

調停は、裁判所(裁判官と男女ペアの調停委員など)が双方から事情を聴いて仲介し、紛争の実状に合った解決をするための手続です。
調停委員は、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれる非常勤の裁判所職員です。

調停では原則として相手方とは同席せず(待合室も別々です)、調停委員を通じて話し合いをします。

話合いがまとまれば、裁判所が取り決めの内容を記載した「調停調書」を作成します。

3 裁判

調停でも話合いがまとまらない場合、裁判によって解決することになります。

裁判では、当事者の主張や証拠を踏まえて、裁判官が離婚を認めるかどうか、親権、財産分与などについて決定します。

なお、裁判になったとしても、最終的には話合いがまとまり、和解が成立することも多くあります。

4 離婚届

協議離婚はもちろん、調停・裁判離婚の場合でも、どちらかが「離婚届」を役所に提出することになります。

調停の場合には調停成立の日から、裁判の場合には裁判が確定してから10日以内に提出することになっています。

調停・裁判で離婚した場合、離婚届の相手方の署名・押印欄と証人の欄は空欄のまま提出します。

なお、調停・和解による離婚は調停・和解が成立した日、判決による離婚は判決が確定した日が離婚日となり、離婚届を提出しなくても離婚は成立していることになります。

※離婚届の不受理申出制度

本人の意思に基づかない届出が受理されないようにするため、役所に不受理申出をしておけば、相手方が離婚届を勝手に出そうとしても受理されません。
不受理となるは無期限で、申出の取下げをするまで不受理となります。

5 戸籍

離婚すると、戸籍の筆頭者だった側は、離婚後もその戸籍に入ったまま変わりません。

これに対し、戸籍の筆頭者でない側は、①結婚前の戸籍に戻るか、②自分を筆頭者とする新しい戸籍を作ってその戸籍に入ることになります。

また、結婚して氏を変更した側は、結婚前の氏に戻ります。

しかし、離婚から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出すると、婚姻時の氏を使い続けることができます。

婚姻の際に、妻が夫の氏となった場合に、離婚後、妻が親権者となっても、子供の氏は妻の氏にはならず、妻の氏と子供の氏が異なることになり、子供は妻の戸籍には入れません。
そこで、妻は、子供を自分の戸籍に入れるために「子の氏の変更許可申立て」をして、裁判所の許可を得て、「入籍届」を役所に提出する必要があります。

なお、離婚により姻族関係は終了します。
これに対し、死別の場合、死亡した配偶者と生存している配偶者の血族との間の姻族関係は終了しますが、生存している配偶者と死亡した配偶者の血族との姻族関係は、生存配偶者が「姻族関係終了届」をするまで終了しません。